平成29年度経営計画
1 業務環境
⑴ 佐賀県の景気動向
我が国経済は、内閣府の「月例経済報告」によると『景気は、一部に改善の遅れもみられが、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、雇用環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかに景気回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。』としています。
一方、県内経済の動向は、佐賀財務事務所の「佐賀県内経済情勢報告」によると、『県内経済は、持ち直しつつあると判断しており、個人消費は緩やかに持ち直しつつあるほか、生産活動は持ち直しつつあり、雇用情勢は改善している。』としています。
先行きについては『雇用環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかに景気回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済の不確実性などに留意する必要がある。』と、月例経済報告と同様の判断となっています。
⑵ 中小企業を取り巻く環境
県内の中小企業は、佐賀財務事務所の「法人企業景気予測調査」の企業の景況感によると、年度上期は「下降」となっていたものが、下期に入って「上昇」に転じています。さらに、平成28年度の売上高は増収見込みとなる中で、経常利益は減益見込みとなっています。
また、県内の金融情勢は、佐賀県の「佐賀県主要経済統計速報」によると、平成28年11月までの県内金融機関貸出残高は前年と比較して微増となっています。同年の県内企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数、負債総額ともに前年を超えるものの低水準で推移しており、沈静化傾向が続いています。金融円滑化法終了から4年が経過しますが、当信用保証協会の利用企業者は、依然として返済条件の緩和を継続している企業数が高止まりで推移しており、経営改善の立ち遅れも窺える状況です。
2 業務運営方針
⑴ 保証部門
① 県内中小企業者等の現状を踏まえ、金融機関や関係機関との連携強化の下、中小企業者に寄り添った保証支援に取り組みます。
② 起業率アップへの貢献のため創業者支援にも取り組みます。
③ 経営・再生支援においては、中小企業者等の経営力向上のサポートに努めます。
⑵ 期中管理部門
保証利用企業者の業況を的確に把握し、金融機関及び再生支援機関等と連携した期中管理・支援に取り組みます。
⑶ 回収部門
定期回収先の安定確保に加え、不動産回収では時機を逸しない交渉に努め処分促進を図ります。また、求償権消滅保証を活用した金融の再調達支援にも取り組みます。
⑷ その他間接部門
信用保証協会の公的機関としての公平性や透明性等を確保するため、コンプライアンスの徹底や反社会的勢力等の排除に向けて取り組みます。また、協会の認知度向上と、職員の資質向上を図るため、各種情報の積極的な発信や人材の育成に努めます。
主な重点課題は、以下のとおりです。
⑴ 中小企業者等に寄り添った保証支援の充実
① 中小企業者等との繋がりの強化
県内16箇所で毎月開催している定例相談を活用し、中小企業者等と直接面談する回数の更なる増加を目指します。
② 利便性の高い保証制度の推進
保証料負担、申込手続等の面で企業にとって特に利便性の高い「県新事業展開資金」「がんばる企業支援資金」「税理士連携保証TAG」の提案及び推進に注力します。
③ 案件審査手法の改善
申込金額、財務内容、資金使途等に応じ、申込関係書類や資料徴求のスリム化等を行い、更なる審査の効率化、迅速化によるサービス向上を目指します。
⑵ 創業者支援の充実
中小企業者数の減少が続いている現状を踏まえ、起業率アップへの貢献のため、経営支援強化促進補助金を活用した各種創業者セミナーの開催を図ります。また、従前から実施している創業者モニタリングにおける創業者の要望や意見に応えて、創業後の不安定な資金繰り支援として、創業者向けの新保証制度の開発を検討するとともに、創業者の経営課題に対して必要に応じ県地域産業支援センター等と連携し対応します。
⑶ 経営・再生支援の充実と強化
専門家派遣事業を柱とした経営支援、中小企業再生支援協議会との協力態勢を軸とした再生支援を継続します。
加えて、「条件変更改善型借換保証」を活用した返済緩和先の正常化促進と再生完了先への資金提案にも取り組みます。
⑷ 期中管理の充実
① 初期延滞先(延滞3回未満)に対して、中小企業者等への面談等による業況把握と延滞解消に向けた協議を行います。
② 新規の事故報告受付先に対して、中小企業者等への面談等による業況把握と今後の方針協議を行います。
⑸ 返済緩和先に対する経営・再生支援
経営改善の実効性が高いと認められる先については中小企業者等への面談を実施し、専門家派遣事業及び経営改善計画策定支援等による経営・再生支援に取り組みます。
⑹ 有担保求償権の再点検による不動産処分の促進
① 引き続き、担保処分の進捗状況別の管理を行い、処分促進を図ります。
② 分割返済中で担保処分を猶予している先のうち、完済まで長期間を要する案件については処分再交渉を行います。
⑺ 求償権状況に応じた早期回収の促進
① 関係人の実態に応じて、損害金免除及び保証債務免除等の提案を積極的に行い、早期回収を図ります。
② 事業継続先には求償権消滅保証を活用し、金融の再調達支援と早期回収を図ります。
⑻ コンプライアンスの徹底
コンプライアンス・プログラムの着実な実行に努め、役職員一人ひとりにコンプライアンス意識の一層の浸透を図ります。
⑼ 反社会的勢力等の排除に向けた取り組みの強化
コンプライアンス統括部署等における反社会的勢力等の情報収集やスクリーニング作業の実施、不当要求防止責任者講習会等への参加により、反社会的勢力等の排除に向けた取り組みの強化を図ります。
⑽ 広報活動の充実
① ホームページや広報誌等の内容の充実に努め、各種媒体を活用した情報発信により、協会の認知度向上と保証利用促進に努めます。
② さが地方創生人材育成・活用プロジェクトのキャリア教育支援として、地元大学への出前講座を実施し、将来の地域経済を担う学生に信用補完制度や協会の役割(創業支援等)に関した周知活動に取り組みます。
⑾ 人材の育成
階層別・課題別・業務別に体系化された全国信用保証協会連合会が主催する研修を積極的に活用し、内部研修とともに職員の専門的知識の習得に努めます。また、地元大学への出前講座による職員の資質能力の向上に努めます。
3 保証承諾等の見通し
平成29年度の保証承諾等の主要業務数値(見通し)は、以下のとおりです。
項目 |
金額 |
前年度計画比 |
---|---|---|
保証承諾 | 280億円 | 93.3% |
保証債務残高 | 830億円 | 92.2% |
代位弁済 | 11億円 | 73.3% |
回収 | 10億円 | 76.9% |